サクッとサステナトーク vol.6
》エコフレンドリーなことやサステナビリティについてサクッと話すシリーズ
サム・スミスをはじめ、ノンバイナリーというセクシャリティを公表するセレブもでてきて、度合いやスピードは違えど、世界で少しずつ受け入れられるようになってきたLGBTQIA+。
そこで誰かを呼ぶ時、「彼 / 彼女」「He / She」ではなく、ジェンダーニュートラルな代名詞を使おうという流れは世界的に進んでいます。
フランス語やスペイン語など各単語に男女の区別がある言語はとくに、普段話す言葉をどうジェンダーニュートラルにしていくかが、色々と議論されているよう。
今日はそんな世界の”ジェンダーニュートラルな言葉”事情を探ってみようと思います。
ジェンダーニュートラルな呼び方については、Amazon Original のドキュメンタリー『 THIS IS ME』のエピソード4もcheck!◎
》短編5分、でもLGBTQそれぞれの思いを感じるドキュメンタリー『THIS IS ME』
Swedish スウェーデン語
スウェーデンは、ジェンダーニュートラルの流れでいうと世界の先を行く存在。
スウェーデンは2015年にはすでに、国の公式辞書に男性代名詞の「han」女性代名詞の「hon」の代わりとして「hen」をジェンダーニュートラルな名詞として追加しました。
これは、スウェーデンのLGBTコミュニティと幼稚園や学校教育の場での声によってアウェアされた流れです。
English 英語
英語では、誰かを呼ぶ時「He / She」ではなく、一人称でも「they」を使うのがジェンダーニュートラルな形のスタンダードになっています。
2015年には、ワシントンポストがtheyを一人称として使用することを認め、2019年、Merrian Webster辞典がTheyをノンバイナリーの一人称代名詞として追加しました。
中には、Theyを一人称に使うと単数 / 複数の区別が付けられなくなるという意見もありますが、He / Sheがスタンダードになる前の時代は、theyを一人称に使うことが文法的にスタンダードだったともいわれています。
かの有名なシェイクスピア、ジェーン・オースティンといった英作家たちも、文章の中で一人称にtheyを使っていたよう。
Spanish スペイン語
スペイン語はすべての名詞に男女の区別があり、英語の”the”にあたる「冠詞」も男女で形が変わります。
そんなスペイン語のジェンダーニュートラルな形はというと、冠詞の「el・la(the)」の代わりに「Les」を、主語「él ・ella(He / She)」の代わりには「elle」が使われます。
また、アメリカのヒスパニック系クィアコミュニティでは、「ラテン人」を表すときに”Latinix”または”Latin@”を使い、語尾で男女を区別しない形にしています。
さらにアルゼンチンなどでは、単語の語尾を男性形「o」女性形「a」にはせず、ニュートラルな形として「e」にしようという動きもあります。
スペイン語は世界各地で話されている言語。
話される国によって、ジェンダーニュートラル事情は若干異なるのかも。
French フランス語
フランス語では、単語の語尾に「e」がつくと女性形になり、「s」をつけると複数を表しますが、それをすべて合わせてニュートラルにしようという流れになっています。↓
「[男] ami(friend)」「[女] amie」→「amies(ジェンダーニュートラル)」
また、トランスジェンダーコミュニティ内では”He / She”にあたる主語「il / elle」を使い分けず「lel」が使用されます。
しかし、2017年にフランス政府は公式文書でジェンダーニュートラルな単語を使うことを禁止していて、公式に認めるという意味では、フランスのジェンダーニュートラルはまだまだこれからかも。
German ドイツ語
ドイツ語では、”Gender Star(ジェンダースター)”とも呼ばれる*アスタリスクが単語の間に入ると、ジェンダーニュートラルな形になります。
アスタリスクを入れることで、男性・女性のどちらかに偏らず、すべての性を一度に表すことができるとしてます。
Fahrer ([男] driver) → Fahrer*innen (drivers)
世界的にみると、ドイツは割とジェンダーニュートラルが進んでいる方。
2014年には法務省が公式の書類でジェンダーニュートラルな名詞を使うことを提言。
さらに、2019年1月ドイツの都市ハノーファーが、ドイツで初めてeメールやフライヤーなど公式の場ではすべてジェンダーニュートラルな代名詞を使うことを決めました。
Thought
こうして新しい言葉が生まれてはスタンダードになり、言語は絶えず、その時代の最適な形へと変化していくのかと考えるとコミュニケーションって面白いですよね。
ジェンダーニュートラルに関するムーブメントはまだまだこれからで、国や年代によっては理解されにくい場面も多々。
でもそこにあるネガティブな意見にも寛容でありたいし、そうあることが多様性をリスペクトして、それぞれの”違い”を柔軟に受け入れることにつながるのかなぁと。
ジェンダーニュートラルな言葉選びについては、まさに『This Is Me』中のエピソードを見てはっとした私。
どの言語を話す時でも「彼」と呼ぶか「彼女」と呼ぶかで、知らず知らずのうちに見知らぬ誰かを居心地悪くさせるかもしれないということは、いつも頭のどこかに置いておきたいなぁと思います。