「夜アート」のススメ。トロント一夜限りのオールナイト・アートフェスをレポ

 

toronto nuit blanche

 

個展や美術展に行ったり、何かを作ったり、

あなたがいつもアートに触れるのは、昼?夜?

私はトロントであるアートフェスティバルに出会ってから、夜に寝る間を惜しんでアートに触れる時間を楽しむようにしている。

そうして少し夜更かししてでもアートに触れる時間はどこか特別で、新しい芸術を見つけるきっかけにもなるし、何より日常が豊かになる気がするから。

 

今回はそんな「夜アート」の魅力を教えてくれた、トロントのアートフェスNUIT BLANCHE(ニュイ・ブランシュフランス語で眠らない夜/白夜”)についてお届けします。

そして NUIT BLANCHE的、「夜アート」をたしなむポイントについても考えてみました。

 

トロント最大のアートフェス NUIT BLANCHE(ニュイ・ブランシュ)

2017 Nuit Blanche

2017 Nuit Blanche Toronto

カナダというと「英語を学ぶ場所」というイメージけれど、実はアート・カルチャーに対する好奇心がとても旺盛。

トロント国際映画祭はもちろん、アート・歴史系は多種多様なエキシビションが見きれないくらいあるし、フードフェスなども盛ん。

 

中でもカナダを代表する世界最大の現代アートフェスティバルが Nuit Blanche Toronto(ニュイ・ブランシュ:フランス語で眠らない夜“/”白夜)です。

1年に1回、日没から夜明けまで、一夜だけ開催されるオールナイト・アートフェスティバル。

その日は街全体が美術館と化し、ダウンタウンのビル、駅、ストリート、あらゆる場所がギャラリーになる。

2006年から始まったこのフェスティバル、2018年には120万人が参加したビッグイベントで、これまで4900人ものアーティストたちが参加し、1400以上のオフィシャルアートが展示されてきたという。

 

”多様性”をアートで表現する

NUIT BLANCHEが人々を魅了する理由、それはマルチカルチャー都市トロントならではの多様性にある。

トロントはさまざまな人種・文化が共存する場所。

それぞれが「多様な価値観」が認め合いながら生きていて、それがゆえに生まれる自由な発想が NUIT BLANCHEには凝縮されているのだ。

そんな多様性が作り出す NUIT BLANCHEの魅力がこちら。

 大人も子供も夜アートに酔いしれる

まず NUIT BLANCHEの魅力のひとつは「人の多様性」。

夜の7時から朝の7時まで夜通し続くアートフェスだけれど、その日は子供だって夜更かししてダウンタウンに繰り出し、家族とアートを楽しむ。

幼いころからアートやカルチャーに触れる面白さを知ることができるのはとても素敵だと思う。

そして普段はアートにあまり関心がない人だってこの日は別。

エンターテイメント性にあふれ、現代アートをよく知らなくても楽しめる展示が数多くあるので、誰もが気軽に街を歩きながら現代アートの感性に触れられる。

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何を使ってどう表現するかは自由

そして「表現・感性の多様性」も NUIT BLANCHEの魅力。NUIT BLANCHEで展示されるアートは、時に音楽、時に光、時には布切れ、時にはオブジェ、パトカーだってアートになるし、とにかくユニークで自由。

表現するものもテーマに沿っていれば自由。

歴史を表現したり、

#MeTooをアートとコラボレーションさせたり、

誰もが日々言えずに心にしまっている思いを引き出すしかけの「観客参加型」アートだったり、

とにかく奥行きや幅の深い表現を楽しめる。

使われている素材から、制作方法から、「作り手は何を表現したいのだろう?」とアーティストの感性に触れ、考えを巡らせるのも面白い。

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毎年変わるテーマも魅力

NUIT BLANCHEのテーマは毎年変わり、アーティストたちはそれぞれテーマに沿って、様々な視点からアートを作り出す。

2017年のテーマは「Many Possible Futures(多くの可能性ある未来)」、2018年は「You Are Here(あなたはここにいる)」、そして2019年のテーマは「Continuum(連続性)」と毎年ユニーク。

ひとつのテーマで様々なアーティスト、企業が工夫を凝らして壮大なアートを作り出す、どんな作品が生まれるのか当夜まで分からないワクワクも NUIT BLANCHEの楽しさのひとつ。

 

NUIT BLANCHE的「夜アート」のススメ

NUIT BLANCHE(ニュイ・ブランシュ)は年に1度のフェスティバルだけど、NUIT BLANCHE同じように夜にアートに親しむことはいつでもできる。

私は「アートのための特別な夜」を設けるようになってから、アートへの興味の幅も広がったし、芸術本もよく読むようになった。

すると街を歩いていても、前は気づかなかった何気ないアートが目に留まったり、色彩感覚が研ぎ澄まされたり、日常が少し刺激的で充実している気がする。

そんな私がNUIT BLANCHE(ニュイ・ブランシュ)からヒントを得た、「夜アート」楽しみ方のポイントがこちら。

アートのための特別な日を作る

NUIT BLANCHEに心躍る理由は、その日だけという特別感。だから事前にアーティストについて予習したりもするし、その日は思いっきりアートを楽しむぞ、と意気込む。

その特別感は感性を研ぎ澄ませる気がするし、集中力も増す。だからあえて「月最後の金曜日はアートの日にしよう」などと自分で特別なアートの日を作ってみよう。

自分だけのテーマを決める

NUIT BLANCHEを見ると、テーマがあるから広がる芸術もあると思う。

カラフル、クラシック、POP、音楽、フェミニズム、抽象的、サイケデリック……なんでもいい、自分の心が躍るテーマを決めて、そのテーマに合ったアートを思いっきり味わおう。見てみたい映画や、気になっている美術館の展示からヒントを得るのもあり。

あえて夜更かしする

特別な「夜アート」の日を決めたら、その日は芸術で満たされることが最優先。

あえて夜更かしのために夜食を用意してみたり、ワインを仕入れたり、夜+アートを最大限に面白くしてみよう。

どんな形のアートもアリ

何かを表現するということはすべてが芸術。「アート=絵」と決めてしまわずに、映像だって音だって、ファッションだって食べものだって、すべてがアートなのだということを心にとめて観賞しよう。

場所は外でも家でもOK

「夜アート」で何を楽しむかはあなた次第。

夜にやっているギャラリーや美術展に行くもよし、芸術本を遅くまで読みあさるもよし。または映画のレイトショーに出かけてもいいし、おこもりで制作活動をするのもあり。とにかく自分がアーティスティックに感じることをしよう。

 

日常を少し豊かにする「夜アート」、あなたもぜひ特別な一夜だけのアートを楽しんでみて。

そしてNUIT BLANCHE(ニュイ・ブランシュ)を実際に見てみたい!というあなたは今秋トロントに行ってしまうのもアリ。

今日も何気ない1日をアートでスパイスアップしてみよう。

 

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この記事を書いた人

フランス ボルドー、カナダ トロント生活を経て多種多様な働きかたに感化されフリーランスに。
優柔不断なほうなので、日々のお出かけや買い物から、生き方・働き方まで何かと迷いがちな私ですが、その中で見つけたエスプリや日々を愉しくするヒントをここで発信しています。
DNAから完全に夜型です。

CLAIrmag.