最近ますます、ファッション界のサステナビリティへの貢献が欠かせなくなってきました。
そんな中、話題に上がるのがファッションアイテムによく使われるナイロンやポリエステル素材。丈夫で洗濯が簡単なため便利ですが、自然分解されないこれらの素材は、海洋汚染やごみ問題を深刻化させることが問題視されています。
そこで誕生したのが、新しいナイロン素材「ECONYL®(エコニール)」です。
海を守るエコファブリック ECONYL®(エコニール)
ECONYL®(エコニール)はイタリアの素材メーカーAquafil社が開発した新素材で、漁網やプラスチックごみなどのナイロン廃棄物を100%リサイクルして作られた再生ナイロン。繰り返しリサイクルが可能なエコ素材です。
ナイロン素材といえば丈夫で軽く、水にも強いことからアウターやバッグなどファッションではさまざまなアイテムに使われますよね。
しかしナイロン素材は石油が原料であるため、天然資源やエネルギーの過剰消費、CO2排出などの問題があります。
また自然に分解されないため、海への影響やごみ問題も指摘されるところ。
そんなナイロン素材の環境へのデメリットを変えるべく生まれたのがECONYL®(エコニール)です。
クオリティはこれまでのナイロンと同じ
ECONYL®(エコニール)は環境に配慮したリサイクル素材でありながら、クオリティはこれまでのナイロン素材と変わらないそう。
吸水性や速乾性にすぐれ、ストレッチがきいているのでエコスポーツウェアやスイムウェアブランドで多く使用されています。
allSisters(Spain)
yoq(Japan)
世界のラグジュアリーブランドもこぞって採用
ECONYL®(エコニール)は現在、PRADAをはじめ世界の有名ブランドが積極的に採用し始めており、ファッション業界全体で注目されています。
PRADA
プラダは〈Re-Nylon〉プロジェクトを立ち上げ、2021年末までにバージンナイロンをすべて廃止して、ECONYL®(エコニール)へ切り替えると発表。
Stella McCartney
2020年までにバージンナイロンの使用を止めるとしている。このチャーミングなパステルイエローのスターミニバッグは100%エコニールからできている。
GUCCI
アウターなどにECONYL®(エコニール)を採用。
Burberry
トレードマークのトレンチコートに100% ECONYL®(エコニール)を採用。
【番外】H&M
2018年のコンシャス・エクスクルーシブ・コレクションからECONYL®(エコニール)を採用。2030年までに全ての素材をサステナブルにすると宣言。
ECONYL®(エコニール)がサステナブルな理由
繰り返しリサイクルできる
ECONYL®(エコニール)は繰り返しリサイクルすることが可能で、服を処分する際のゴミを減らすことができます。
海を海洋汚染から守る
海から回収された漁網や海洋プラスチックごみ、繊維廃棄物などをリサイクルして作られるエコニールは、現在問題となっているプラスチックゴミの海洋汚染問題に貢献すると言われています。
リサイクル素材なので資源&エネルギー消費が少ない
ECONYL®(エコニール)はリサイクル素材であるため、原油など新たな資源を消費せずに作ることができ、水やエネルギーの消費量も通常のバージンナイロンより少ないと言われます。
CO2排出を削減
Aquafilによると、ECONYL®(エコニール)は、これまでのナイロンより50%ほどCO2の排出を減らすことができるそう。
マイクロファイバー
またECONYL®(エコニール)は細かい繊維片ではなく、長く連なったフィラメントからできているので、フリースなどにあるマイクロファイバーも問題にならないのではないかと言われています。
トレーサビリティ
ECONYL®(エコニール)は原料や作る過程などに高い透明性があります。
まとめ
正直、気になってはいても日常でのプラ素材を減らすのがなかなかむずかしい日本での生活。毎日着る服にもナイロンやポリエステルは多く使われています。
そんななかでECONYL®(エコニール)という素材は、これから私たちが環境に配慮しつつ、便利なナイロン素材とうまく付き合うための新しい選択肢になってくれそうです。
そう考えると、大げさかもしれないけれどECONYL®(エコニール)という素材が生まれたことが、未来を導く世紀の発明のようにも感じます。もちろん、エコニールを使えばなんでもサステナブル!という訳でもないけれど。
いま注目の素材なだけあって、意外とあちこちのブランドやアイテムに使われているのでこれから色々と手にとってみたいと思います。