デザインで生地に新たな価値を生む、世界のモードなアップサイクルブランドたち

捨てられるはずのものにまた新たな命が吹き込まれ、新しい場所で、誰かのお気に入りになる。そんな晴れやかなサイクルを作るファッションブランドが世界で増えてきています。

今回は生活や服を作る過程で出る廃棄物を活用してファッションを生み出す、世界の「アップサイクルブランド」を紹介します。

 

1. Bundgaard Nielsen(バンドガードニールセン)

Bundgaard Nielsenはデンマークの有名デザイナーによって作られたブランドで、ファッションをより永く持続可能なサイクルで楽しめるよう素材の質と柔軟性にフォーカスしています。

彼らの代表的なコレクションは、機能的でいてナチュラルな風合いのCircleシリーズと、資源やエネルギーの「Reduce(削減)」というメッセージが込められた使用生地の少ないレース風のデザインReduceシリーズ。

Circleシリーズ

代表的なCircleシリーズの服はより多くの人の体にフィットする「ユニバーサルデザイン」を実現するために、人体測定データを集めてカットラインを研究し、伸縮性のある生地を使って作られます。

 Bundgaard Nielsenは、こうすることで「サイズが合わずに服を捨てる」ことを減らし、欧米の布地の過剰廃棄を減らしたいと考えています。

人体データを駆使した論理的なデザインと、デザイナーの持つ芸術性が融合した彼らの服はまさにユニバーサル。

様々なライフスタイルに溶け込むファッションです。

Reduse

またReduceシリーズはビエンナーレ賞にノミネートされた作品で「最大の効果を引き出すために、最小の規模での製作をする」という考え方から生まれたシリーズ。

製作時に余計な生地の使用をセーブし、長く着られる服を目指して作られています。

使用されるレースは古いジーンズと抗菌繊維からできているのでサステナブル。

スカンジナビアデザインの伝統的でナチュラルな雰囲気とユニークなデザインが特徴です。

@bundgaardnielsen

 

2.Ecoalf(エコアルフ)

image by @ecoalf

スペイン発のEcoalfは世界の天然資源を次世代に残す、”真の持続可能なファッションブランド” を目指し、2009年に誕生しました。

ブランド名は創始者の息子の名前「アルフレッド」からとって、「自分たちの次の世代にバトンを渡せるように」との願いが込められています。

Ecoalfは海洋を汚染するフィッシングネットやペットボトル、古いタイヤや飲み終わったコーヒーの粉などを高品質な糸に変え、スタイリッシュなファッションアイテムを生み出しています。

アニマルフレンドリーな素材を使ったり、リサイクルコットンやウールを使用した服作りにも力を入れています。

リサイクルされた素材からできたとは思えないほどファッショナブルなアウターやスニーカーは日本でも人気。

値段も手ごろなので一度は手にしてみたいアップサイクルブランドです。

@ecoalf

 

3.Re;code(リコード)

image by @recode_

Re;codeは「環境を考えファッションを再定義する」をコンセプトとして、日々作られては着られることなく廃棄される服に新しい価値を吹き込む韓国発のブランド。

ゼロウェイストを目指し、廃棄される布地や服をアップサイクルしています。え、それが服になるの?と驚くような素材も自社デザイナーの手作業によって見事に生まれ変わらせます。

バラエティにとんだアップサイクル

Re;codeが服作りに使用する素材は、過剰生産や売れ残りでオーバーストックした服のほか、座席カバーやエアバッグなどの車内装備、軍用テント・制服・パラシュートなど多種多様。

一見服作りには適さないような素材も、デザイナーの手にかかればファッショナブルに変身。そうして出来上がるコートやバッグ、PCケースはモノトーンで、どことなく知性を感じさせるすっきりしたデザインが魅力です。

知的障碍者やシングルマザー、脱北者などの社会的立場が弱い人とコラボレーションし、互いに助け合うエシカルなブランド運営もアクティブで次世代的。

@recode_

 

4.Doodlage(ドゥードレージ)

image by Doodlage

インド人デザイナー、Kriti Tulaはファッション製作過程で大量廃棄される端切れ布に注目。それらを再利用してエコフレンドリーな服を作ろうとDoodlageを立ち上げました。

Doodlageでは様々な場所から端切れを仕入れ、それをオーガナイズして一つの服をデザインします。

仕入れる端切れのうちの約40%は、多くのファッションブランドが工場を置くインド、バングラデシュ、中国から。

ミスプリントや、過剰生産された服や切れ端をただアップサイクルするだけではなく、自社職人が一つ一つ作り上げた刺繍、裁縫などの手仕事を加え、質の高い1枚を仕上げます。

また自然で分解することのできないポリエステルは使わず、農薬を使わないオーガニックコットンや、ユーカリ、トウモロコシ、バナナなどの自然の繊維を使った製品作りで環境に配慮しています。

インターナショナルのオンラインショップもあり、手にしやすい価格も魅力。

梱包にも分解できるプラスチックを使ったり、タグはリサイクル紙にしたりと、プロダクトそのもの以外にもサステナビリティヘの思いがあふれています。

@doodlageofficial

 

これらのブランド以外にも、サステナブルな次世代のファッションを追究しているブランドは増えています。

服のデザインだけではなく、採用する素材、アップサイクルへのアプローチ方法、そしてサステナブルファッションへの思い、すべてがそれぞれのブランドが持つ個性。

それを楽しむのも新しいファッションの在り方になりそうです。

 

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この記事を書いた人

フランス ボルドー、カナダ トロント生活を経て多種多様な働きかたに感化されフリーランスに。
優柔不断なほうなので、日々のお出かけや買い物から、生き方・働き方まで何かと迷いがちな私ですが、その中で見つけたエスプリや日々を愉しくするヒントをここで発信しています。
DNAから完全に夜型です。

CLAIrmag.