サクッとサステナトーク vol.3
》エコフレンドリーなことやサステナビリティについてサクッと話すシリーズ
今回のトピックはジュエリー。
最近”エシカル”がプロモーションワードのように使われる場面も少なからずあり、正直、私自身たまに”エシカル”の定義が迷子になることがあります。
そこでクリーンなジュエリーの話を通して「本当の意味で人や環境を尊重したエシカルなモノ・コトの選び方」について考えてみようと思います。
エシカルなジュエリーとは
あなたが今身に付けているジュエリーはどこでどのように採れ、加工されたものでしょう。
ゴールドやシルバーなどのメタル、ダイヤモンドなどの宝石は主にアフリカや南米などの鉱山地帯で採掘されますが、これらを調達し加工する過程には環境汚染、紛争、児童労働、搾取などの問題があります。
この現実に向き合うために、人権や自然環境を尊重したかたちで原材料を調達し、加工されるジュエリーがエシカルジュエリーです。
エシカル・ゴールド
まずゴールドにある大きな問題は、採掘の際の水銀汚染問題。そして中小規模の採掘場にある児童労働、強制労働、搾取などです。
健康と自然環境に”アンエシカル”なゴールド
ゴールドの採掘に関わる労働者は世界70カ国に最大1500万人いて、彼らは常に水銀による健康被害のリスクにさらされています。そしてその労働者のなかには小さな子どもも。
金を精錬する過程では、たった0.333オンスのゴールドリング毎に20トンもの水銀を含む有害物質が排出されます。そしてこの有害物質はそのまま土壌や河川に流され、自然環境や生態系を破壊する要因になっています。
フェアマインド認証
そこでゴールド、シルバー、プラチナなどの採掘がサステナブルに行われているかを確認するのに有効なのがフェアマインド認証(fairmined)。
フェアマインド認証は自然環境を守りつつ、採掘労働者がより安全で適切な環境で働き生活向上していけるよう、ARM*によって作られた認証制度です。
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フェアマインド認証を受けているゴールドは、下記のような基準を満たした中小規模鉱山で採掘されたエシカルでクリーンなゴールドといえます。
・クリーンな組織によって
・適切な業務環境のもと
・環境に配慮したかたちで運営され
・透明性がある
*ARM (Alliance Responsible Mining):小規模鉱山のサステナブルな運営と発展をサポートするために設立された国際非営利組織。
エシカル・ダイヤモンド
ダイヤモンドを巡る問題にスポットライトが当てられたきっかけは、おそらく2006年に公開されたレオナルドディカプリオ主演の『blood diamond(ブラッドダイヤモンド)』。
ダイヤモンドの採掘をめぐっては、紛争、児童労働、人身売買、強制労働などの問題があります。これらの問題は採掘場だけでなく、ダイヤモンドを加工する過程にもあることです。(インドの研磨工場など)
コンフリクトダイヤモンド
世の中に流通しているダイヤモンドの中には、紛争地帯の反政府組織によって占拠され、内戦の資金源として乱用されるコンフリクト・ダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)があります。
2003年、この紛争ダイヤモンドの流通を防ぐために国連や各国政府によって制定されたのがキンバリー・プロセス*。
この制度により現在流通するダイヤモンドの99%は”コンフリクトフリー”ですが、この制度はダイヤモンドが完全にクリーンであることを証明するものではありません。(キンバリー・プロセスによってダイヤモンドが紛争と関わっていない事は証明されても、児童労働、強制労働、密輸入などがないことを証明するものではない。)
エシカルなダイヤモンドを選ぶには、調達先の鉱山などをしっかり公開しているジュエリーショップを選ぶ事が大切です。
*キンバリー・プロセス
参入国にはダイヤモンドを取引する際、原石が紛争と関わらないことを証明する原産地証明書(キンバリープロセス証明書)の添付が義務付けられる。
自然環境とダイヤモンド
ダイヤモンドの採掘は金のように有害物質を大量に排出する訳ではありませんが、過度な森林伐採や土壌劣化などによりエコシステムを本来あるべき姿から壊してしまう可能性があります。(https://u.osu.edu/diamondscarlsoncaggiano/impacts/)
そして、こうしたダイヤモンドにある問題はルビーやサファイア、エメラルドなど他の宝石にも同じく存在します。
エシカルなジュエリーの選びかた
それでは、エシカルなジュエリーとは?それは必ずしも背景がクリーンなゴールドやダイヤモンドだけではありません。
エシカルとは地球環境や人間を尊重し、搾取しないこと。つまりヴィンテージジュエリーやリサイクル素材を使ったジュエリーを選ぶこともエシカルと言えます。
アンティーク、ヴィンテージ 、セカンドハンドのジュエリーを選ぶ
旅先で、通りすがりのヴィンテージストアで、オンラインで。普遍的でない特別な存在を見つける。
リデザインして受け継げるジュエリーはないか考えてみる
母や祖母の使っていないジュエリーもリメイク・リデザインしたら自分だけのお守りになるかも。
人工石を選ぶ
ラボでしっかり管理される人工ダイヤモンドは本物にも負けない輝き。
フェアトレードのジュエリーを選ぶ
フェアトレード認証ゴールドやシルバーのマークを目印に。
リサイクル、アップサイクルジュエリーを選ぶ
ゴールドやメタル、プラチナはバージンと同じクオリティでリサイクルして使える。
ローカルのジュエリーストアでオーダーメイド
ローカルのスモールビジネスを応援する事はもちろん、ローカルの小さな店であればジュエリーがどのように作られたかを聞ける。
トレーサビリティのあるブランドを選ぶ
エシカルジュエリーを私たちが選ぶには、そもそもブランド側が透明性を持って必要な情報を公開している事が欠かせない。
エシカルな選択をかさねること
私がクリーンでエシカルなジュエリー選びについて考え、改めて認識した事はこの3つ。
・エシカルなもの選びは、まず新しく消費する前に今あるものに目を向けること。
・そして次に作られる過程や背景にいる人々に目を向け、学んでいくこと。
・最後に100%透明性のあるブランドをもっと応援して、全てのブランドが必要な情報を公開してくれるよう後押しすること。
私1人がどのジュエリーを選ぶかくらいで世界は大きく変わらないかもしれないけれど、ジュエリー選びという人生にそう沢山ある訳ではない機会に、自分自身がいつも自信を持てる選択をしていきたい。
そしてそのような選択をひとつひとつ重ねることによって、ライフスタイルを少しずつクリーンに、サステナブルにしていけたらと思います。(まだまだ始まったばかりの道ですが。)