映画『アメリカンヒストリーX』と「怒り」の感情。

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先週末、あらすじもテーマも知らないまま観た映画『アメリカンヒストリーX』。

「今夜は疲れてるので悲しい系、重めはなしで」という私のリクエストを軽く無視してさらっと放たれた、「いい映画だよ」というひと言だけを胸にクライマックスまで一気に進みました。

結果、観終わってものすごく頭に残ったのは「なんで人って怒りをもつのだろう?」という疑問。

怒っていいことないし、問題を生むことの方が多いのになんで怒るの?と。

 

心の準備なしに観たのがよかったのか悪かったのか、予想していなかった場所に色々と考えをめぐらすことになったので、少しだけ整理してみようとおもいます。

 

『アメリカンヒストリーX』あらすじ

アメリカンヒストリーXは1998年の映画。
20年以上も前の映画なのですが、まず主演のエドワード・ノートンがとにかくかっこいい。

そんなエドワード・ノートン演じるネオナチ(白人至上主義)の少年デレク。

彼は、ある日怒りに身を任せ黒人を殺してしまい刑務所に服役することに。
そして兄を崇拝していた弟ダニーも、兄がいない間に同じく白人至上主義に染まっていく。

ー しかし、刑期を終えて出てきたデレクはどこかが違っていた。

この映画は彼が服役を経て自らの行き過ぎた思想と、それを生んだ「怒り」「憎しみ」といった感情に向き合う姿を、デレク・ダニー2つの目線から回想的に描いたストーリーです。

 

憎しみを断ち切ろうとした矢先に起きた悲劇


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この映画、エンディングがけっこう衝撃で。

そこがまさに色んな考えが一気に頭の中を巡るところなのですが、分かっていたような分かっていなかったような、受け入れたくない現実を突きつけられる感じ。

(ぜひ最後まで観てみてください!)

憎しみ・復讐の連鎖は永遠に続くもので、人は生まれながらにして善い心を持っているという性善説は夢物語。

でもそれがまさにこの社会の本質だったり、怒り憎しみといった私たちが誰しも持っている感情の本当の姿だったりもする。

大げさかもしれないけれど、観終わった瞬間は「何で人間は憎しみ合うのだろう」と、一瞬人間をやめたくなるくらい。

 

怒りってなに、なんであるの?

私も気性が仏のように穏やかかと言われれば、全くそんなことはないけれど、大人になってからというもの「怒り」の感情を抱くことは少なくなりました。

もちろんたまに「キーッ」とはなることはありますが、怒っている時間が無駄!とか、怒りは1分しか続かない!とか色んな理屈を頭に浮かべては心を鎮めます。

でも、人ってなんで怒るんだろう?

調べてみると、怒りや憎しみといった感情は、自然界で生き残る上で必要な感情でもあるみたい。

 

怒りは当たり前にあるもの

人間以外のチンパンジーやカラスだって憎しみの感情を持つことが分かっているらしく、多少の衝突は自然界にも人間界にもあって然るべきもの。

怒りや憎しみといった負の感情は、そうした生き残る上で必要な最低限の衝突に備えるためだったり、周りに脅威や抑止力を生み、将来の危機を回避するためであったりするのだそうです。

怒りや憎しみはもともと生き物の性質としてあるもの、というのが自然の摂理。

むしろ衝突が全くないというのは、自然や社会ではあり得ないことなのかもしれません。

 

(source→https://www.google.co.jp/amp/s/www.gizmodo.jp/amp/2018/09/why-your-brain-holds-a-grudge.html)

 

でも大きすぎると負担になる

でも、怒りや憎しみは大きすぎると心の負担になるもの。怒ると「コルチゾール」というストレスホルモンが分泌され、このホルモンがでると集中力は欠くわ不安になるわ眠れなくなるわ太るわ

しかも怒りが続くと、フラストレーションから関係のない人にまで危害を及ぼすことが科学的にも分かっているらしく。

(八つ当たりというやつ?思い当たる節ありあり。)

生きていく上で必要。でも、持ち続けると人生のマイナスにもなるのが怒りや憎しみ。

 

スウィーニー校長の名言

ここで、アメリカンヒストリーXの中でデレクを気にかける黒人スウィーニー校長の名言が光ります。

ワンフレーズですが、ネタバレしてもOKという人だけクリック。↓


スウィーニー校長の名言
” わたしにもそんな時期があった。あらゆることや人に腹を立てていた。私や私たちの痛みや苦しみ、向けられる侮辱に。白人、社会、神に腹を立てていた。だが答えは得られなかった。なぜなら問いが間違っていたからだ。
正しい問いをするべきだ。

ー 君がしてきたことは人生を豊かにしたか? “


こう自分に問いかけると、怒り続けることがいかに人生の時間を無駄にしてしまうかに気づく気がします。

やはり、どんな感情であれ考え・思想であれ、どこかに偏り過ぎてしまうのは大切な時間、自分の命をも削ることになってしまう。

 

この映画のメッセージ

この映画の最後でエイブラハム・リンカーンの有名な言葉「我々は敵ではなく友人である」が出てきますが、この映画の伝えるメッセージは、このもっともらしい名言だけではない気がします。

怒りはそこに、いつもあるもの。だからこそそれが小さかれ大きかれ、どう向き合うか。

 

BLM以外でも、アジア人へのヘイトクライムや同性愛者へのヘイトなど、まだまだ負の感情が世界に渦巻き続けるここ最近。

その根底には、主人公デレクと同じように、日常のちょっとした葛藤や色んなフラストレーションから生まれる怒りがあるのでしょう。

やっぱりその日常の小さな怒りにどこかで向き合って解放しないと、「人を憎むのは悪い事だ」と正論を並べるだけでは差別もヘイトも終わらないんだろうと思います。一筋縄ではいかないことも多いだろうけど。

 

怒りはあって当たり前。負の感情は誰しも抱くもの。でも長く持ち続けないこと。

大きなヘイトの渦を小さくするには、まずは自分の今日のアンガーマネジメントから。

ということで、映画でも、友人との時間でも、大好きなスイーツでも、枕を思いっきりなぐってみるでも、何かしらの方法で、どこかで許して割り切って、とりあえず今日からは、毎日気持ちをすっきりさせてから眠りにつこうと心に決めたのでした。

 

あれこれ書きましたが、『アメリカンヒストリーX』は、あえてあまり難しく考えすぎず観るのがいいかもしれません!気になった人はぜひ◎

 



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この記事を書いた人

フランス ボルドー、カナダ トロント生活を経て多種多様な働きかたに感化されフリーランスに。
優柔不断なほうなので、日々のお出かけや買い物から、生き方・働き方まで何かと迷いがちな私ですが、その中で見つけたエスプリや日々を愉しくするヒントをここで発信しています。
DNAから完全に夜型です。

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