2020年、世界中で大きなムーブメントとなった#BlackLivesMatter (#BLM)。世界中でこれだけの人が声を上げる理由、#BLM運動によって本当の意味で求められていることを、今もう一度考えたい。
そこで#BlackLivesMatterをよく知ることができる映画を、ドキュメンタリーからコメディまで色々とピックアップしてみました。
内容がシリアスなものもありますが、劇中に出てくる言葉や音楽にも注目して、カルチャーとしても楽しんで観てほしいです。
古い映画も新しい映画もあるので、アメリカ社会の変遷も辿ってみてください!
1.『僕らを見る目』
過去に実際に起きた事件をめぐる不当逮捕を題材にしたこの映画は、配信当時から大きな反響がありました。
1989年にNYセントラルパークで起きたレイプ事件。その事件で逮捕されたのは当時たまたま公園に居合わせていた無実のヒスパニック系少年5人。強引な警察の捜査と、世間のはげしい差別や偏見により少年たちは人生を奪われることとなります。
彼らの長い戦いを見る事は正直心が痛いけれど、役者一人ひとりの繊細な演技により、アメリカと言う国のこと、差別や偏見の根強さを知ることのできる作品。
#BLMだけでなく、80年代から00年代のポップミュージックにも注目しながら鑑賞したい。
『オプラウィンフリープレゼンツ:今、僕らを見る目』も同時に観よう。
on Netflix(2019)
2.『ヘイト・ユー・ギブ』
2009年に実際に起きた黒人少年射殺事件をヒントにした、ベストセラー小説を映画化した作品。
白人警官により目の前で殺害された無実の友人のために立ち上がり、成長する女子高生スターの勇敢な姿を描いています。
黒人家庭では、小さい頃からアメリカで白人と共存していく方法を親から学ぶ。その中で万が一大切な人が人種差別の犠牲となったら、何を感じ、どう行動するでしょう?
ブラックの人々が生まれながらに晒される危険や、それを超えて人生を輝かせる強さなどを感じさせてくれる映画です。
on Amazon prime(2018)
3.『グローリー/明日への行進(Selma)』
黒人の選挙権を求める525人とともに、黒人の自由と平等のために戦ったキング牧師の姿を描いたストーリー。様々な苦悩や暴力に屈せず人としての権利を追い求める姿に、人々は心を動かされます。
肌の色にも性別にも関係なく、人が手を取り合う姿はまさに今回の#BlackLivesMatter運動を思い起こさせます。
こちらは人種を超えた人と人とのつながり、そのあるべき姿を肌で感じるために見たい映画。
on Amazon prime (2015)
4.『13th -憲法修正第13条-』
こちらは#BlackLivesMatterを考える時、1番最初に挙げられる映画。アメリカ社会の人種問題を改めて浮き彫りにし、世界的に評価されたドキュメンタリーです。
アメリカは人口に占める逮捕者の数が世界的にみてもかなり多く、特に黒人の人は犯罪者にされやすい。その事実と裏にある背景を専門家たちが分析しています。
過去の奴隷制度をよく理解したり、一国の政治や歴史、社会のあり方などを見つめられる良い映画です。
on Netflix(2016)
5.『ドゥ・ザ・ライト・シング (字幕版)』
#BlackLivesMatterを知る上で、ぜひ見たいのが抜群のセンスで有名な黒人映画監督スパイク・リーの作品。様々な人種が混在し、共に生活するニューヨークブルックリン。その黒人街に住む住民たちの何気ない日常から人種問題に切り込んだこの作品は、ユーモアの中に辛辣な社会問題が見え隠れするドラマです。
映画内で描かれる当時のブルックリンのレトロな雰囲気に浸りつつ、そこに普遍的にある人種差別の姿を感じてみてください!
on Amazon prime (1989年)
6.『マルコムX』
黒人の権利のために戦った活動家として、キング牧師らと並んで有名なマルコム・エックスの一生を描いたこの映画。
父の死をきっかけに否応なく人種差別に翻弄される彼の生い立ち、刑務所での体験、黒人開放運動への情熱。彼のスマートで鋭く、時に強烈な姿勢がデンゼル・ワシントンの名演技によってリアルに伝わってきます。
割と古い映画が苦手な私ですが、思わず観入ってしまうほどパワフルな映画です。
on DVD(1992)
7.『マルコムX暗殺の真相』
『マルコムX』を観た後にチェックしたいのが、こちらの彼の暗殺の真相を追うNetflixのドキュメンタリーシリーズ。
彼は演説中に”3人の男によって暗殺された”とされていますが、その暗殺の裏には謎が多くあるのだとか。1エピソードごとにその謎に切り込み、分析していきます。
時折出てくる当時のマルコムXの映像と、先に紹介した映画『マルコムX』を照らし合わせながら見ると興味深いです。
on Netflix (2020)
8.『ビールストリートの恋人たち』
世界的話題となったアカデミー賞、ゴールデングローブ賞受賞のこの映画。#BlackLivesMatterについて描きながらも、愛に溢れ感動するラブストーリーです。(正直、予告編だけでも泣きます。)
幼馴染で小さい頃から共に過ごしてきたティッシュとファニーは自然に愛を育み、お腹に子どもを宿します。しかし、その時ファニーは無実の罪で拘置所の中に。2人のためにファニーを助け出そうとする家族や友人の愛と、困難に晒されながらも愛し合う2人の運命が美しく描かれた作品です。
「プライドmonthに観たいLGBTQ+映画をピックアップ。」でも紹介した『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督作品。
on Amazon prime (2019)
9.『ムーンライト』
マイアミの貧困地域で暮らす内気なゲイの黒人少年が、アイデンティティを模索し居場所を探す中で成長していく姿を描いた作品。
公開されるや世界が絶賛した感動作で、第89回アカデミー賞、作品賞、助演男優賞、脚色賞を受賞。
麻薬、貧困の連鎖、暴力など#BLMをきっかけに今フォーカスされているアメリカ社会の現実がリアルに描かれ、その環境下で奮闘し自分を探す主人公、多様性を受け入れようとする人々の姿がじわりと心に入ってくる。
LGBTQ+という観点と合わせて、#BLMが巻き起こる今だからこそ鑑賞したい映画。
on Amazon prime / Netflix (2016)
10.『イノセンスファイル』
アメリカで実際に起きた冤罪事件を調査し、当局の不正や誤りを暴いていくNetflixオリジナルのドキュメンタリーシリーズ。
冤罪により投獄された無実の人々を助ける非営利団体 「イノセンス・プロジェクト」や「イノセンス・ネットワーク」の活動、そして彼らの正義を探求する姿を追っています。
DNAや指紋もなく、警察によりねつ造された証拠や目撃証言により何十年もの時間を奪われる人たち。そしてその家族、友人。彼らの苦しみや痛みを知った時、同じ世界に生きる者として、あなたは何を感じるでしょうか。
作中に出てくる当事者の目線や言葉からリアルな現実を見つめてみたい。
on Netflix (2020)
11.『私はあなたのニグロではない』
#BlackLivesMatter運動を受け、2020年に日本でも緊急再上映が決まった映画。
過去、黒人の権利のために闘った人々。どれくらい知っていますか?
キング牧師らとともに公民権運動の中心人物となった作家、ジェームズ・ボールドウィン。
このドキュメンタリーは、彼の未完の原稿をもとに、彼の視点から、根深い人種差別の歴史や暗殺について描いています。
当時の映像は見るに耐えないくらいリアルに怒りが伝わってくるものだけれど、とにかく一度は目にしておきたい。作家である彼の事は一つ一つにも注目してみてください!
“私は黒人である前に人間なのです。”
公式サイト on DVD(2018)
12.『ディア・ホワイト・ピープル』
“Dear White people…,”というキャッチフレーズとともに、人種差別がいかに私たちの身近にあるかを教えてくれるインディペンデント映画。とある名門大学に通う有色の学生たちが学内ラジオ番組を通して、人種差別にユーモアを持って戦うコメディです。
学園ドラマコメディというところが観やすいので、他のドキュメンタリーが少し重すぎるという人はここから始めるといいかも。
on DVD (2014)
そしてこの映画をもとに、同じくコメディタッチで作られたドラマシリーズが『親愛なる白人様』。2017年からNetflixで配信されています。こちらもご飯の後や寝る前にサクッと観られるエピソードです。
on Netflix (2017)*ドラマ
アメリカ社会における人種差別は、歴史や社会の構造が作り出したもの。私たちが理解しているよりも、はるかに、はるかに根深い問題です。
そして人種差別はアメリカに限らず、私たちの日常にも当たり前に存在している。だからこそ、#BLMは日常的に触れて考えてみたいトピックです。
あまりシリアスに捉え過ぎず、温かいものでも飲みながらソファに座って、ゆったりと鑑賞してみてください。