女性にとっての最もデリケートな話題の一つである「生理」。
生理とは、私たち女性の身体に毎月必ず起こる自然現象で、子どもを産むためにも、女性らしくあるためにも欠かせない身体の仕組みです。
しかしながら日本では、同じ女性同士であっても、生理について話すことにためらいを感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
一方海外では、女性同士で気になる生理の悩みや、どんな生理用品を使っているのかなど、当たり前のように情報交換が行われます。
そうした女性の強い関心もあってか、生理用品に対する考え方が進んでいて、新しい生理用品の受け入れにも柔軟です。
中でも、近年シェアを広げているのが「月経カップ(Men-strual Cup)」と呼ばれる生理用品。
日本ではまだあまり聞きなれない名前ですが、将来的には日本でもナプキンやタンポンに代わる存在となるかもしれません。
そこで、月経カップとはどんなものなのか?そして海外女性に受け入れられる理由に迫ります。
日本では聞きなれない生理用品「月経カップ」とは?
Image: Monki
月経カップとは、シリコン製の素材でできた生理用容器のことを指し、英語圏では「Menstrual Cup」と呼ばれています。
もともと20世紀中頃にアメリカで誕生した製品ですが、近年再び注目を集めるようになり、欧米の女性の間では急速にシェアが広がっています。
使用する際は、カップの受け口部分を折りたたんで膣に挿入し、使用後はタンポンでいう紐の部分を引いてカップゆっくりと取り外します。
同じく膣に挿入するタンポンとの違いは、経血を吸収せずにカップに溜めるという点です。
月経カップが海外女性に受け入れられる理由とは?
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体と環境に優しい素材
日本ではあまり知られていませんが、一般的なナプキンやタンポンには塩素系漂白剤が使用されており、焼却する際に環境を汚染するダイオキシンが発生します。
ダイオキシンは分解されないため、環境や動物、食物に吸収され、後々食物連鎖として私たちの口に入ることとなります。
また、塩素系漂白剤をはじめナプキンやタンポンに使用されている化学素材は子宮の収縮活動に刺激を与え、生理痛の原因になるとも考えられています。
月経カップは環境保護はもちろん、健康リスクの低下、そして生理痛の緩和に繋がると考えられているのです。
繰り返し使用が可能で経済的
一度の生理期間にナプキンやタンポンをどのくらい使用するかというのは、個人差によって大きく異なるため一概には言えません。
しかし仮に毎月400〜500円ほど生理用品に出費するとした場合、年間4,800〜6,000円、10年間で48,000円〜60,000円出費する事になります。
一方月経カップは一個約2,000〜4,000円程(海外平均)。初期費用がかかるものの洗って繰り返し使用でき、製品や取り扱い方によっては数年〜10年程使用できるとも言われています。
長い目で見れば、使い捨てのナプキンやタンポンに比べて非常に経済的ですよね。
タンポンのシェアが広がる海外では装着に抵抗が少ない
日本の生理用品で圧倒的なシェアを占めるのはナプキン。
近年ではタンポンを使用する女性も増えつつありますが、それでも店頭に並ぶ生理用品の8~9割はナプキンだと言われており、装着型の生理用品に抵抗を感じる人が少なくありません。
一方欧米においてはナプキンと同等、もしくはそれ以上にタンポンのシェアが広がっており、国によってはタンポンが生理用品の主流であるところも。
そんな背景もあり、月経カップを装着することに抵抗を感じる人が少ないのも選ばれる理由の一つに考えられます。
雑菌の繁殖が少なく清潔・気になるニオイも減少
生理用品着用時の蒸れは雑菌繁殖に繋がり、実は非常に不衛生な状態。
また、気になるニオイを増大させる一因にもなってしまいます。
しかし、月経カップは経血を吸収することなく溜める役割を果たすことから、不快な蒸れと雑菌繁殖を防ぐとともにニオイを押さえます。
また、径血量や色の変化が確認できるため、体調管理にも効果的です。
「生理」を快適なものとするために、個人にあった生理用品の選択を
女性が人生において長く付き合っていく生理をできるだけ快適なものにするために、「どんな生理用品を選ぶか?」というのは大きな問題ですよね。
今回ご紹介した月経カップは、今後布ナプキンなどと並んで、生理用品としての新たな選択肢の一つとなるかもしれません。
女性の身体にも、環境にもストレスフリーだと海外で普及してきている月経カップ。
その存在を知るだけで、女性が生理用品に改めて向き合うきっかけにもなるのではないでしょうか。
生理用品との相性、そしてお一人おひとりの考えを大切にして、それぞれが最も女性として輝ける、身体に合った生理用品を見つけたいですね。