世界で広まる「NO!」の声。洗顔・歯磨き粉のマイクロプラスチック(ビーズ)ってなに?

 

 

洋汚染を引き起こす重大な問題となっているプラスチック製品。

最近では、できる限り使用を削減・廃止するよう、国や団体、個人の意識の変化や取り組みも目立ってきています。

しかし、私たちの生活にはあまり知られていない小さな存在「マイクロプラスチック」というものがあることをご存知ですか?

実はこのマイクロプラスチック、海洋汚染の要因の一つとして海外では数年前から規制が進められています。

 

生活に溶け込む「マイクロプラスチック」の存在

マイクロプラスチックとは、5mm以下のプラスチック粒子のことを指し、マイクロプラスチックビーズやマイクロビーズと呼ばれることも。

私たちが日常で使用する歯磨き粉や洗顔、クレンジング剤、角質除去といった製品の中には、スクラブまたは研磨剤としてマイクロプラスチックに該当する成分が使われていることがあり、完全に濾過することが難しい小さなマイクロプラスチックは、河川や下水などを通じて海洋に流れ込んでしまうということが問題視されていす。

海に流れ着いたプラスチックごみが、太陽の光や波の影響などで細かく砕けることでできるマイクロプラスチックもありますが、身近な生活用品の中にプラスチック成分が含まれているとは驚きですよね。

 

海外で進む「マイクロプラスチック問題」への対応

2016年、イギリスにおいて英国下院がある報告書を公開しました。その中には、マイクロプラスチックが海洋中に漂っている数がおよそ15兆個〜51兆個と膨大な数であり、5mm以下の非常に小さな粒子とはいえ、欧州から海へと流れる量は年間およそ8万~22万トンにものぼるということ。

こうした状況への懸念から、イギリスでは、2018年以内にマイクロプラスチックを使用した製品生産の禁止を目指すことが政府から発表されています。また、アメリカでは2015年に「マイクロビーズ除去海域法」という法律が成立し、マイクロプラスチックを成分に含む製品の製造や販売、輸入はすでに禁止されています。

 

日本の大手化学メーカーも「マイクロプラスチックレス製品」へ切り替え

マイクロプラスチックについては、数年前から日本の化粧品・化学メーカーでも対応が検討されており、すでにマイクロプラスチックレス製品に切り替えている企業もあります。

大手化学メーカー花王もその一つ。花王は、マイクロプラスチックが環境に与える影響を考慮し、花王グループが日本で販売している商品に含まれるスクラブ剤を、セルロースやコーンスターチなどの天然由来の成分から開発したものに切り替えるなど、2016末までにマイクロプラスチックに該当する成分の使用を中止したことを発表しています。

海洋汚染の根本的な問題「プラスチック資源」というテーマ

環境に配慮した商品づくりを進める花王に続いて、今後その他の化粧品メーカーでもマイクロプラスチックレス製品へと切り替えが進むことを私たちも期待したいですね。

また併せて、プラスチック資源という海洋汚染の根本的な問題への意識や取り組みを一層向上させていくことが、国、企業、個人、それぞれの役割として求められます。