環境汚染や地球温暖化はいまや世界が抱える緊急の課題。その原因は様々ですが、私たちが日々食べている「肉」も少なからず環境に影響を与えているんです。
2019年に起きたアマゾン大規模火災も、大規模畜産業が原因のひとつと言われています。
そんな「肉」が持つ環境問題を何とかしようといま開発が進んでいるのが、環境に配慮したクリーンな肉「Lab-grown Meat(培養肉)」です。
肉をラボ(研究室)でつくる…?新しい「食」の選択肢として世界的に注目されているクリーンミート「Lab-grown Meat(培養肉)」とはどんな肉なのでしょうか?
クリーンミート「Lab-grown Meat(培養肉)」とは?
「Lab-grown Meat(培養肉)」とはその名の通り”ラボで育った肉”、つまり農場ではなくラボ(研究所)でバイオテクノロジーを利用して作られたクリーンな肉です。
動物の肉の細胞を組織培養して作られる「Lab-grown Meat(培養肉)」は環境負荷が少なく、衛生管理がしやすいためクリーンミートとも呼ばれています。
アメリカではすでにこのクリーンミートを使ったハンバーガーが作られたり、オランダや日本でも企業が意欲的に開発に取り組んでいるようです。
2019〜2021年にかけてクリーンミートを商品化し販売する計画もあり、私たちが考えている以上にクリーンミートは早く世の中に広まるかもしれません。
「食」にひそむ環境負荷とは?クリーンミートが生まれた理由
私たちが営むさまざまな産業の中でも「食」が環境に与える影響は思っている以上に大きく、特に森林伐採は大きな問題。
「アマゾンで伐採される森林の約70%が畜産による」ともいわれ、牧場や家畜の餌づくりのために日々信じられないほどの森が地球から消えています。
世界のエコロジストたちにはこうした「肉」の抱える環境負荷を危惧して、プラントベースの食事をするベジタリアンやヴィーガンという道を選ぶ人も少なくありません。
そこでラボで作られるクリーンミートを今の食肉の代わりにすれば、環境への影響を少なからず減らせるのでは?と「Lab-grown Meat(培養肉)が生まれたのです。
“クリーンミート”(培養肉)のメリット・デメリットは?
クリーンミート(培養肉)のメリット
なぜクリーンミートがエコロジストたちに期待されているのかというと、食肉の生産における4つの問題を解決してくれるから。
1つ目のメリットは、動物を犠牲にする必要がないため、アニマルフレンドリーであること。
2つ目は、環境にやさしいこと。従来の畜産業のように食用の動物を肥育するよりも、クリーンミートは森林保護の面でも、水質保全、大気汚染防止の面でも環境負荷が少なくなります。
3つ目は、徹底した衛生管理が可能なこと。よく日本でも狂牛病や口てい疫などが問題になりますが、クリーンミートはラボで作られるためこうしたリスクも少なくなります。
4つ目は、健康的なリスクが少ないこと。食肉を育てる過程では抗生物質やホルモン剤が使われることがあり、これによる健康被害を懸念する研究者もいます。
こうした人体へのリスクを減らすことができるのもクリーンミートのメリットです。
クリーンミート(培養肉)のデメリット
逆にクリーンミートがもつ問題は2つ。1つ目は、現在のところ値段が高いということ。今のところクリーンミートを使ったハンバーガーはひとつ¥1000以上するため、価格の面でいうとクリーンミートはあまり身近なものではありません…。
しかし今後開発や研究が進めば、培養の技術も進歩して値段の問題は解決されていくのではといわれています。
2つ目のデメリットは、人工的に作られた肉を食べることへの否定的な意見もあることです。
「人工的に培養されたものが肉と呼べるの?」「食べても大丈夫なの?」「テクノロジーから生まれた食材は倫理的によくない」など、クリーンミートには様々な意見があります。
しかし結局のところ「食」に対する価値観も、環境に対する考えも人それぞれ。私たち一人ひとりが自分自身の価値観をもってクリーンミートとの付き合い方を選んでいけばいいのかなと個人的には思います。
クリーンミート(培養肉)は未来の新しい選択肢になる?
これからクリーンミートで作られた鶏肉やツナなどの商品化も考えられていて、クリーンミートは環境に配慮した”未来の新しい選択肢”として世界の関心事でもあります。
もしかすると私たちがラボで作られたクリーンミートをスーパーで見かける日もそう遠くないかもしれません。(source*)
日々食べる肉をエコ視点で見直すことから、環境にアプローチしてサステナブルライフをつくっていくのも悪くない。
「Lab-grown Meat」以外にもどんなクリーンミートが生まれるのか、これからも注目したいですね◎